
なぜPTA委員決めでもめるのか?
PTAの委員決めが毎年ストレスになりやすい理由
PTAの委員決めは、年度末になると必ず話題に上り、多くの保護者にとって気の重い行事の一つです。その理由のひとつは、「誰かが必ずやらなければならない」という逃げ場のない状況にあります。学校や地域活動を支える役割であることは理解されていても、仕事や家庭との両立を抱える保護者にとっては大きな負担となりがちです。
また、役割の中身が不透明なまま候補にされるケースもあり、「実際に何をするのか分からないまま不安を抱える」という声も少なくありません。さらに、その場の雰囲気や圧力で「断りにくい」と感じる人も多く、心理的なプレッシャーが積み重なります。こうした背景が、「今年もまた委員決めか…」とため息をつかせ、毎年のストレスにつながっているのです。
「負担が大きい」「仕事や家庭と両立できない」という保護者の本音
PTA活動に対して最も多く聞かれる不満は「時間の負担」です。特に共働き世帯やシングル家庭では、平日の昼間に学校へ出向くこと自体が難しく、無理に引き受ければ生活全体にしわ寄せが生じます。さらに、委員の仕事内容が会計処理やイベント運営など幅広いため、想像以上に労力がかかることもあります。
「子どものためだから」と割り切れたとしても、結果的に家庭内の負担が増し、夫婦間の不満や子育てのストレスに直結する場合も少なくありません。また、「やりたい人がやるのではなく、やれる人が押し付けられる」という不公平感も本音として根強くあります。
こうした声が積み重なることで、PTA委員決めは単なる役割分担ではなく、家庭と生活を左右する切実な問題として受け止められているのです。
公平性をどう担保するかという難しさ
PTA委員決めで避けて通れないのが「公平性」の問題です。「毎年同じ家庭が負担している」「立候補する人が偏っている」「役職の重さに差がある」といった不満が出やすく、会議の場で険悪な空気になる原因にもなります。
公平性を保つために「くじ引き」を導入する学校もありますが、「事情のある人も強制的に当たってしまうのは理不尽」と感じる場合もあり、完全な解決には至りません。また、推薦制は「押し付けられた」という感覚を生みやすく、立候補制は「いつも同じ人に任せがちになる」という課題があります。
公平性を追求するほど、制度設計が複雑になり、かえって不満の温床になることもあるのです。このジレンマこそが、委員決めをめぐる最大の難しさであり、もめ事の根本原因だといえるでしょう。