
会計のブラックボックス化
最も多くの保護者が口にする不信感が「会費の使い道」です。毎月あるいは毎年徴収されるPTA会費は、学校や地域のために活用されるはずですが、その具体的な内容を知らされないままお金だけが集められていくことに、疑問を持つ人が少なくありません。
「学校の周年行事費として毎年徴収され、そのお金で鉄棒や緞帳(どんちょう)を購入している。校長が自由に使っているように見える」という保護者の証言もあります。もちろん、子どもたちのために使われるのであれば納得できる部分もありますが、問題はその意思決定プロセスが不透明であることです。「どのように決められたのか」「誰が了承したのか」がはっきりしないまま支出されることが、保護者の不信感を増幅させています。
さらに、公費とPTA会費の混同も頻繁に指摘されています。たとえば、教育委員会の予算で導入されたメール配信システムを、PTAのお知らせや役員募集の通知にも使っている例。公費で賄われるべきものにPTAが「便乗」しているように見え、独立した団体としての境界が曖昧になっています。
加えて、「家庭訪問の交通費がPTA会費から支払われていた」「学校備品の購入費用を会費から出していた」など、本来は学校や行政の予算でまかなうべき支出が、PTAの財布から流れているケースも少なくありません。こうした実態は、PTA会費が便利な予備費のように扱われているのではないかという疑念を招きます。
中には「学校行事の来賓祝儀をPTAが受け取ったことにして、実際の金銭は学校の裏金に回された」という衝撃の告白までありました。こうした事例は氷山の一角に過ぎないかもしれませんが、会計がブラックボックス化し、透明性を欠いた運用が行われていることは明らかです。
会計の不透明さは、単なるお金の問題にとどまりません。保護者の信頼を根本から損ない、「自分たちの会費がどう使われているのかわからないのに払わされている」という不満を膨らませていきます。会計の透明化と公費との明確な線引きは、PTA改革の第一歩として欠かせない課題といえるでしょう。
- 使途の不透明さ
会費が何に使われているのか明確にされず、意思決定プロセスも不明瞭。 - 公費との混同
本来は教育委員会や学校予算でまかなうべき経費(メール配信システムなど)にPTAが便乗。 - 本来の支出範囲を逸脱
教員の交通費や学校備品の購入にPTA会費が流用され、便利な予備費扱いになっている。 - 不正の温床となる恐れ
来賓祝儀を裏金化するなど、不適切な資金操作の疑いがある事例も報告。 - 信頼の失墜
保護者が「払わされているだけ」と感じ、不満や不信感を増幅させる最大の要因になっている。