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令和のPTAはどう変わるべきか?アンケート結果の分析から考える

令和のPTAはどう変わるべきか?アンケート結果の分析から考える

最大の悩み:役員のなり手不足

アンケートの自由記述で最も多く寄せられたのが、役員のなり手不足に関する声でした。「役員がなかなか決まらない」「毎年のように決定に時間がかかる」「結局いつも同じ人がやっている」といったコメントは数多く、保護者にとって大きなストレスになっていることがうかがえます。

特に深刻なのが会長や本部役員のポストです。一般の委員や学級委員であればまだ何とか引き受け手が見つかる一方で、責任が重い会長職や本部役員は敬遠されがちです。そのため「誰も立候補せず、仕方なく前任者や推薦で決まる」「信頼できる人に頼み込む」という事例が目立ちます。

背景には、共働き家庭の増加があります。ほとんどの保護者が仕事を持っている今、平日の日中に拘束される活動や夜間の会議に出席するのは大きな負担です。その結果、「役員はやりたくても時間的に難しい」「仕事を理由に断る人が増えた」といった現実が広がっています。

さらに、不公平感も課題となっています。ある家庭は何度も役員を務める一方で、一度も経験しないまま卒業を迎える家庭もある。児童数や世帯数が少ない地域では、毎年のように何かしらの役を担わなければならない一方、児童数の多い地域ではほとんど関わらずに済む。このような「やる人とやらない人の差」「地区間の負担格差」が、不満や不信感をさらに募らせています。

なぜ解決が難しいのか(役員決めの構造的問題)

役員のなり手不足は、単に「やりたい人が少ない」という表面的な問題にとどまりません。そこには、いくつかの構造的な課題が存在しています。

まず、PTA役員の多くは「ボランティアでありながら必須の仕事」という矛盾を抱えています。保護者全員が会員である以上、誰かが必ず担わなければならない役割がある一方で、強制はできない。そのため、押し付け合いや消極的な空気が生まれやすくなっています。

次に、選出方法の不透明さがあります。立候補制を導入しても応募が集まらず、推薦制に頼れば「知り合いにばかり声がかかる」と不満が出る。抽選制にすれば公平さは担保されますが、「忙しい人に当たってしまうリスク」が敬遠される。いずれの方法も一長一短で、明確な「正解」が見えにくいのが現状です。

さらに、役割の重さや情報不足も壁になります。会長や本部役員は学校や地域との調整役として責任が大きいにもかかわらず、具体的な仕事内容やサポート体制が十分に周知されていないことが多い。「大変そう」「自分にはできない」というイメージが広まり、敬遠される一因となっています。

最後に、世帯数減少と活動量のアンバランスが拍車をかけています。少子化や地域の縮小で保護者数が減っているにもかかわらず、活動内容は昔とあまり変わらない。結果として、一人あたりの負担が重くなる悪循環が生じているのです。

こうした複数の要因が絡み合い、役員選出は単純な制度変更や声かけだけでは解決しにくい「構造的な問題」となっています。

PTA活動の負担感と働き方の変化

PTA活動の負担感と働き方の変化

アンケートでは、「役員のなり手不足」と並んで多く寄せられたのが、PTA活動そのものの負担感に関する声でした。

まず挙げられるのは、平日昼間の活動の多さです。会議や作業が平日日中に設定されることが多く、「参加するためには会社を休まなければならない」「パートや勤務調整ができず、結局欠席せざるを得ない」といった切実な声が目立ちました。現代では共働き家庭が多数派となっているため、昼間に集まるスタイルそのものが現実と合わなくなっているのです。

こうした状況は、保護者に「やらされている感」を強めています。子どものために活動しているはずなのに、「意味の薄い会議のために仕事を休んだ」「形式的な集まりに時間を取られた」と感じてしまうと、モチベーションは下がり、「できれば参加したくない」という心理につながってしまいます。

また、役員や委員の仕事が特定の人に集中する傾向も負担を大きくしています。「一度引き受けると、またお願いされる」「結局、同じメンバーばかりで回っている」という声は少なくありません。結果として、奉仕活動や行事準備が一部の家庭に偏り、疲弊感や不公平感が広がっています。

さらに、少子化によって会員数自体が減少しているため、一人あたりの役割が重くなっている点も無視できません。「6年間で何度も役員をやらざるを得なかった」「常に何かしらの仕事が回ってくる」という体験談は、地方や小規模校を中心に顕著です。

こうした背景から、「PTA活動が子どものための協力の場」という意義が見えにくくなり、「大変」「面倒」といったイメージが先行しているのが現状です。

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この記事を書いた人

2人の子供が小中学生の時6年間PTA役員をやりました。うち2年はPTA会長でした。シングルファーザー&自営業で学校に顔を出すことも多かったので目を付けられてしまいました。そんな僕の経験からPTAの様々な問題について情報発信しています。