
改革の事例紹介
令和のPTA改革は、各地で少しずつ形を変えながら進んでいます。その中心には「負担を減らし、より多くの人が関わりやすくする」という共通の目的があります。以下では、具体的な取り組み事例を紹介します。
抽選制や立候補制の導入
従来は推薦や輪番制に頼っていた役員選出を、抽選制や立候補制へと切り替える学校が増えています。立候補があれば優先し、いなければ抽選で決める方式は「押し付け合い」を避ける工夫です。中には「短期間だけ会長を務める」「半年ごとに交代」といった新しい試みも見られます。
ツイン体制や分担制での運営
一人に負担が集中するのを防ぐため、PTA会長を二人体制にしたり、副会長と明確に役割を分ける学校もあります。「行事担当」「会議担当」といった分担で負担が軽くなり、気持ちの余裕が生まれることで活動の質も高まります。
業務の外部委託・簡略化
バザーや広報誌といった伝統的な行事や業務を見直す動きも進んでいます。必要性の低い活動は思い切って廃止したり、印刷物や物品の発注を外部業者に委託することで役員の作業を大幅に減らした例もあります。結果として、残した活動に集中できるメリハリが生まれています。
ICTの積極活用
LINEオープンチャットで役員同士の連絡を一元化したり、Googleフォームでアンケートを取るなど、デジタル化を進めるPTAも増えています。紙の回覧板を「デジタル回覧板」に置き換えたことで、回収の手間が減り「会議に来られない人も意見を出せるようになった」という効果も出ています。
改革の事例に共通しているのは、「続けやすさ」を第一に考えている点です。選出方法の見直し、役割分担、外部委託やICT活用など、小さな工夫の積み重ねがPTAを大きく変えています。令和のPTA会長には、こうした事例を柔軟に取り入れ、自分たちの地域に合った形へと発展させる姿勢が求められます。
PTA会長を経験して得られるもの

PTA会長という役割は「大変」という印象が先行しがちですが、実際に経験した人の多くは「得られるものが大きかった」と振り返ります。その一つが人とのつながりです。教職員との信頼関係はもちろん、地域の団体や他の保護者との交流が広がり、普段の生活では得られないネットワークが築かれます。「子どもの学校を超えて地域全体とつながる機会になった」という声も少なくありません。
また、学校運営への理解が深まることも大きな収穫です。校長や先生方と直接やり取りすることで、教育現場の課題や学校運営の工夫を知ることができます。保護者の立場から学校を支えるという意識が芽生え、教育への見方が変わったと感じる人も多いのです。
さらに、子どもの学校生活を近くで見られる喜びがあります。行事や活動の裏側に関わることで、普段は見えない子どもの成長や学校生活の一面を知ることができるのは、保護者にとって大きな魅力です。「子どもとの会話が増えた」「学校での様子が分かり安心できた」という声はよく聞かれます。
そして忘れてはならないのが、リーダーシップや調整力といったスキルの向上です。多様な意見をまとめ、行事を運営し、地域や学校と連携する経験は、まさに社会で求められる力そのものです。中には「仕事にも役立った」と話す人もおり、個人の成長につながる側面は非常に大きいと言えるでしょう。
このようにPTA会長の経験は、負担だけではなく、人間関係・教育理解・家庭の喜び・社会的スキルといった幅広い学びをもたらす貴重な機会なのです。