
PTA役員と聞くと、多くの保護者がまず思い浮かべるのは「大変そう」という印象ではないでしょうか。会議や行事の準備に追われて時間を取られる、仕事や家庭との両立が難しい、そして何より「任意とはいえ、選ばれたら断りにくい」という憂鬱さ…。そんな声を耳にすることは少なくありません。特に近年は共働き世帯が増え、平日の昼間に動くことが難しい家庭も多く、「役員=負担」と考える人が増えているのも自然な流れです。さらに「引き受けたら最後、数年間は抜け出せないのでは」と不安を抱く方もいるでしょう。そのため役員決めの時期になると、保護者会の空気がピリピリと張りつめるのもよくある光景です。
しかし実際にPTA役員を経験した人たちからは、意外にも「やってみたら思っていたよりずっと良かった」という声が少なくありません。先生との距離が近づき、子どもの学校での様子をより深く知ることができたり、保護者同士のネットワークが広がったりと、負担だけではない“得られるもの”があるのです。中には「自分の視野が広がった」「子育てに役立つ情報を得られた」とポジティブに感じる人もいます。この記事では、そうした経験者の声をもとに、PTA役員だからこそ得られるメリットに焦点を当ててご紹介します。ネガティブなイメージの裏側にある「意外な魅力」を知ることで、少しでも気持ちが前向きになれば幸いです。
統計から見るリアルなPTA役員体験者の声
PTA役員は「大変」というイメージが強いものの、実際に経験した保護者の過半数は前向きな評価をしています。明光義塾の調査によれば、PTA役員を経験した保護者のうち「良かった」と答えた人が約55.7%にのぼり、「どちらかというと良かった」を含めると半数を超えています。つまり、やる前に抱く不安や負担感よりも、実際に得られるメリットを実感する人が多いということです。
さらに、同じ調査で注目すべきは「保護者同士の交流の広がり」です。2016年には「保護者の友人がいる」と答えた人は59.2%でしたが、2018年には73.2%まで増加しています。役員経験を通じて自然に知り合いが増え、学校生活や地域でのつながりが強くなっていることが数字にも表れています。こうしたデータは、「PTA役員は参加価値がある」という裏付けと言えるでしょう。
実際の声

先生と直接話す機会が増えて、子どもの学校での様子を詳しく知ることができました



役員になったことで学年を超えて知り合いが増え、子育ての悩みを共有できる仲間ができました



学校行事を裏側から支える経験ができ、子どもが頑張る姿を特等席で見られたのは貴重でした



人前で話す機会が増えて、苦手だった挨拶や司会進行にも少し自信がつきました



大変なこともあったけれど、終わってみれば『やって良かった』と心から思えました
こうした体験談からも分かるように、PTA役員は単なる「負担」ではなく、人とのつながりや成長の機会を与えてくれる立場でもあります。
体験談で語られるPTA役員を引き受けるメリット
教職員との信頼関係構築(関係性)
PTA役員を務めることで、担任の先生だけでなく校長や副校長、事務職員など、普段は接点が少ない教職員とも自然に顔を合わせる機会が増えます。先生方から名前や顔を覚えてもらえることで、ちょっとした相談もしやすくなり、子どもの学校生活に関する情報もスムーズに得られるようになります。また、トラブルが起きた際には「信頼できる保護者」として話を聞いてもらいやすくなり、対応が柔軟になるとの声もあります。
- 教員との距離が近づき信頼関係が深まる
- 困ったときに相談しやすい立場になれる
- 学校との連携がスムーズになり安心感が増す
学校や子どもの様子を深く知る機会
役員として学校行事や日常活動に関わると、普段は見えない「子どもたちの自然な姿」に触れることができます。運動会や発表会などでは裏方の準備に携わり、舞台裏から子どもの頑張りを間近に見ることができるのも役得です。さらに、行事によっては役員向けの優先席が用意される場合もあり、子どもの姿をより近くで見守れることも。こうした経験は、保護者として大きな安心感と充実感を得られるポイントになります。
- 子どもの素の姿を知る機会が増える
- 行事を特等席で見られる場合もある
- 学校の裏側を知ることで理解が深まる
保護者ネットワークの広がり
PTA活動を通じて、学年を超えたつながりや地域の保護者との交流が自然に生まれます。受験や進学情報、地域のイベントや習い事に関するリアルな情報が得られるのは大きなメリットです。特に人見知りの方でも、「役員をきっかけに話せる人が増えた」「気軽に相談できる仲間ができた」という声が多く聞かれます。孤立しがちな子育て期において、頼れるネットワークを築けるのは役員ならではの恩恵です。
- 保護者同士のつながりが広がる
- 情報交換や助け合いがしやすくなる
- 子育ての不安を共有できる仲間ができる
自分自身の視野や成長にもつながる
PTA活動は保護者の負担という側面もありますが、その一方で自分の成長につながる経験も多く得られます。世代や立場の違う人と関わる中で、新しい価値観や考え方に触れる機会が増えます。役割を通じて「意外と自分にできることが多い」と気づいたり、「自分には無い強み」を知るきっかけになることもあります。普段の生活では得にくい多様な学びが、自分を成長させる大切な財産になります。
- 多様な人と関わり視野が広がる
- 自分の新たな一面に気づける
- 社会経験としてのスキルが身につく
PTAの改善に貢献できる
「もっと効率的にできるのでは?」「これは無駄ではないか?」と感じることを、役員という立場から提案できるのも大きなメリットです。これまで当たり前だった慣習を見直すきっかけとなり、活動のスリム化や効率化につながる場合もあります。単なる負担の担い手ではなく、PTAをより良い形へと変えていく主体になれることは、やりがいと達成感を感じられる瞬間でもあります。
- 改善提案でPTA活動を変えられる
- より効率的で参加しやすい形に貢献できる
- 保護者目線の改革を実現するきっかけになる
PTA役員経験者のリアルな声から学ぶ「一歩踏み出すメリット」
実際にPTA役員を経験した保護者の声からは、「やって良かった」という実感が数多く聞かれます。中でも印象的なのは、「もっと早くやっておけばよかった」という感想です。最初は「大変そう」「負担になるのでは」と不安を抱いていたものの、実際に活動してみると、子どもの学校生活をより近くで支えられた喜びや、保護者同士の温かいつながりに触れることができ、「意外と楽しかった」「思ったよりも負担は少なかった」という前向きな印象へと変わる方が多いのです。
また、活動を通じて「子どものためだけでなく、自分自身にとっても良い経験になった」と語る声もあります。新しい人との出会いや役割を果たした達成感は、単なるボランティア活動にとどまらず、自分の成長や自信につながったと感じる人も少なくありません。なかには「来年度も続けたい」と続投の意欲を見せる人もおり、PTA役員は負担というイメージを超えて、人生の中で貴重な学びと出会いの場になり得ることを示しています。
つまり、一歩踏み出すことで得られるのは「やらなければ分からなかった充実感」と「未来につながる経験」。その実感は、PTA役員を経験した人だけが語れるリアルなメリットと言えるでしょう。
PTA役員を引き受ける注意点/デメリットも併せて紹介
PTA役員には多くのメリットがある一方で、正直なデメリットの声も見逃せません。代表的なのは「活動に時間を取られ、自分の自由時間が減る」という点です。また、報酬が発生しない無償の活動であるため、「ここまでやっているのに損得勘定をしてしまう」という気持ちになる人も少なくありません。とくに会議や準備に追われる時期は負担感が強まり、「やはり大変だった」という感想が出ることもあります。
さらに、フルタイムで働く保護者にとっては、スケジュール調整の難しさが大きな壁となります。平日昼間の活動に参加できないケースが多く、「結局一部の人に負担が集中してしまう」という不公平感も生まれがちです。こうした課題は、役員活動を続ける上で避けて通れない現実です。
だからこそ重要なのは、「無理のない範囲で」「自分に合った役割を選ぶ」ことです。大役を担うのが難しいなら、短期間やスポット的な活動に絞るのも立派な関わり方です。自分のライフスタイルや家庭の事情に合わせて調整することで、負担を軽減しつつメリットを得ることができます。PTA活動は強制ではなく任意の参加であることを忘れず、バランスを意識することが大切です。
まとめ
PTA役員には「時間を取られる」「無償で大変」といったデメリットがあるのも事実です。しかし、多くの経験者が語るように、それ以上に得られるものが多いのもまた現実です。先生や保護者との信頼関係、学校や子どもの新しい一面の発見、そして自分自身の成長。こうした経験は、役員という立場を通じてしか得られない貴重な財産です。
大切なのは、すべてを完璧にこなそうとするのではなく、自分に合いそうな役割を見つけ、無理のない範囲で取り組むこと。小さな関わりでも十分に価値があり、気づけば「やってよかった」と思える瞬間に出会えるはずです。
子どものために、自分自身の成長のために、そして地域に少しでも貢献できる気持ちを持てるかもしれない。そんな一歩を踏み出そうとする方を、心から応援します。